誰もがヒーローになれる社会を。一人一人の英雄譚の実現を夢に医学部から教育の分野の道を選択する相川雄太氏の実践型の自己分析とは。

By 安室 朝常

2017.11.21  

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こんにちは、
自分の夢を実現するための信念を持ち続けることって意外と難しいですよね。
やらなければならないことに追われたり、批判されたり、他に興味を惹かれると、
揺らいでしまう、または見失ってしまうことも珍しくないのではないでしょうか。

今回は、医大に進みながらも、キャリア教育への道を志す
相川雄太氏にその確固たる信念についてお伺いしました。

 

相川雄太 (あいかわゆうた)
在学:東京医科歯科大学 医学部 6年

医学部に在籍しながら認定キャリア教育コーディネーターの資格を取得。
高校生向けの教育支援を行う芦花ナビプロジェクトや医療ビジネスコンテストの運営を経験。
現在は神経科学×教育×ITのNeuroEdTechを事業とする
スタートアップ企業DAncing Einsteinで長期インターンシップを行う。

ソーシャルビジネスと出会い、人の人生に「感動」「希望」「救い」を創ることを誓う


なぜ、医学部に進みながら認定キャリア教育コーディネーターなどの資格を取得しているのですか。

 

元々、医学部に入った理由は、高校2年生の時にバングラデシュの実業家ムハマド・ユヌスがグラミン銀行を創設した実話をその著書で読んでことがきっかけです。彼のソーシャルビジネスという考えに感銘を受けて、自分もこんなビジネスをやりたいと思いました。ビジネスの実話に影響を受けて、なぜ医学と思うかもしれませんね。確かに当時の僕は、経済学に興味を抱いていましたし、理系に進むつもりはありませんでした(笑)。だけど父から、僕が理系脳ということもあって強く理系の勧めを受けました。そこで経済学とは異なる分野でソーシャルビジネスのような人を救える仕事は何か考えました。理系の中で人を救う、人に最も近い仕事って何だろなと思っている時に医学が当てはまりました。僕は医学は究極の文理融合だなと思っています。なぜなら、理系脳を屈指しながら、常に人とコミュニケーションをとる必要があるからです。またそのように考えている時に国境なき医師団の活動に憧れたこともあり、医学の道へ進むことを決意しました。

しかし、大学1年時の冬頃に自分のやりたいことって本当に医学なのかなと疑問を覚え始めました。明確ではなかったけれど感覚的に自分に合っているのかを考えるようになりました。

今でも医学はとてつもなく尊く、素晴らしいものであると思っています。ただどうしてもその疑問と向き合いたいと思っていて、そこから医療ビジネスコンテストの運営などの活動を始めました。様々な活動を通して、改めて、僕の夢の原点であったソーシャルビジネスついて考え直しました。なぜソーシャルビジネスに惹かれたのか。それはグラミン銀行の創設のストーリーにありました。貧困層の主婦の人たちへヨーグルトを売るための元手を貸すことから始まったという部分です。その元手、つまりきっかけを提供することで彼女らが得ることが難しかった可能性を手にすることができたんですよね。それが彼女らにとってはある種の「救い」なのではないかと思っています。

僕のやりたいことを表すキーワードは「感動」「希望」「救い」です。ソーシャルビジネスはそれらを与えられるものだからこそ、惹かれました。患者さんに寄り添うことでそれらを与えることができる医学もこのキーワードに当てはまります。しかし、僕は人が飛躍するような大きなインパクト、つまりきっかけを創りたいと思いました。例えば、恩師との出会いとかって人の人生を大きく変えますよね。その感覚ってこれまで見えていなかった世界が大きく広がるようなもので、その大きく広がる瞬間がとてつもなく好きで、自分はその瞬間をたくさんの人の人生に創りたいのだと気付きました。この気付きが僕が医学部にいながらもキャリア教育に関心を持つ要因です。

 

あらゆる苦難を必ず乗り越えられる英雄譚を現実にしたい


ソーシャルビジネスに影響を受けたとのことですが、相川さんの描くビジョンとはどのようなものなのでしょうか。

 

自分という人間を形成した経験は何かと考えた時に思い浮かんだのは、16歳までおままごとをして、遊んでいたことですね。(笑)

 

おままごとというのは?(笑)。

 

頭の中で物語を創り続ける。例えば、ポケモンやガンダムのようなキャラクターのおもちゃにそれぞれ性格をつけて、それぞれのストーリーを作っていました。そのストーリーには、共通点があって、あらゆる苦難に苛まれる、だけど誰かが救いの手を差し伸べてもらうことで、どんな苦難をも必ず乗り越える。そして、絶対的に素晴らしい感動を達成するというものです。そんなストーリーを200以上ものキャラクターを主役に、英雄譚を創ってきました。それぞれの物語の主人公が困難を乗り越えるクライマックスの瞬間、達成の瞬間、それを見る時が自分の感情を昂らせるものでした。

それで自分は0歳から11歳になるまで香港で暮らし、現地の日本人学校に通っていました。だけど頭の中でそんなことを考えていようと、そのストーリーを人に話すことができませんでした。現実は理想と異なっていました。「言いたいことはあるのに、言いたいことを言えずに、表面上で笑顔を作る」自分がいました。

 

今と印象が違いますが、何か転換期になるようなものがあったのでしょうか。

 

そうですね。11歳の頃に今度はオーストラリアで暮らしました。その時に変わりました。何を話しても褒めてもらえる、やりたいことをやらせてくれる。そんな環境に変わりましたね。

だけど、16歳の頃、日本に帰ってきてからはまた仮面を被り始めました。特に大学入学当初の頃は。またある時、仮面を被っているのは自分だけではないなと、ふと思いました。周りを見た時にみんな苦笑いしていた、それどころか苦笑いに慣れていてそれが当たり前になっていた。彼らもやりたいことを秘めているのではないかと疑問を抱きました。

もちろん、やりたいことを隠すことが悪いことだけではないし、彼らに非があるとも思いません。ただそういう世の中の環境が許せないなと思いました。自分の描いてきたどんな苦悩も乗り越える英雄譚をたくさん人の人生に実現したいと思いました。

そこで、じゃあ自分に何ができるのか、何が世の中をこういう状態にしているのかを考えると大きく2つの要因があるのではないかと考えています。一つがお金。例えばお金がなければ教育も受けられない、いろんなことができないのが事実がありますよね。もう一つが命。例えば、途上国では先進国では簡単に治せる病でも、亡くなっている人たちがいる。それらはその人の英雄譚を奪っている。

僕にとっては、医者になることも、教育の道に進むことも、またソーシャルビジネスを学ぶこともあくまで手段でしかありません。自分にとって一番大事なことはある意味ファンタジーな世界観をこの世の中でも実現させること、そのために手段を選択して、努力することでした。

 

やりたいことは決まった。やり方は今でも考え続けている


現在は、英雄譚を実現するために何が必要だとお考えですか。

 

今はキャリア教育を手段の一つだと考えています。人生をつまらないなと感じている人の世界をぱっと広げることができると思っているからです。そのために、認定キャリア教育コーディネーターの資格も取得しました。ただ将来的にキャリア教育をするのかはわかりません。来年から2年間は香川で医者をやります。今は本当にどんなことでもするから自分も周りの人も英雄になれる、英雄が生まれる世界を作りたい想い一心です。

この決意は大学卒業間近にやっとできました。医療ビジネスコンテストの運営をしている時も本当に自分がやりたいことははっきりとはしていませんでした。色々やり始めていくうちに少しずつ見えてきたものです。例えば、このビジネスコンテストを共に成し遂げた、ビジネスサークルの仲間たちは、皆、自分の起源というものを持っていました。〇〇のような経験があって、生い立ちがこうで、だから今こう考えるようになり、今こういうことをしたいと、まさに一人一人にストーリーがありました。誰もが自分の物語を持っている、その事実が英雄譚への想いを駆り立てています。

やりたいことは決まりました。それでも、どうすればがいいのかは、やはり今でも考え続けています。例えば、先ほど、お話した、お金と命。本当はもっと他にも原因があるのではないかと探っています。まだ、行動が足りているとは言えませんから今の自分が見えているものが全てとは思いません。それに自分がやりたいことに対して、実際に自分ができることもまだ把握できているとは言えませんから。だから、まずは社会人を経験します。まずは経験しながら学びます。そのあとは起業を見据えています。

 

そのために学生生活で経験したもので活きるものはありますか。

 

まずは学生生活を通して、組織の中で自分がどんなキャタクターであるかが見えてきました。それを知るために様々なことを経験しました。一つはDeNAのサマーインターンシップです。そのインターンシップでは、周りがとてつもなく優秀でした(笑)。提案力もファシリテーションも全く勝てない、と少しショックも受けました。だけどその中で自分は何ができるのかを模索した結果、自分はビジョンメイクでは誰にも負けないことを発見しました。こんなコンセプトで、こんな社会に、みんなで、と自分が見えているものを語って、共有することで仲間を鼓舞する、巻き込んで一緒に進められることが自分の持てる特性なのだと思いました。

また認定キャリア教育コーディネーターの一環でNPO法人じぶん未来クラブの「芦花ナビプロジェクト」という高校生を対象にした教育ボランティアをしました。高校生が新入生に向けて、高校生活を面白おかしく紹介しながら交流を深める、交流会をするのだけれど、僕たち、大学生・社会人がプレゼンの準備やグループワークのお手伝いをしました。この教育ボランティアでは、30〜40人規模のボランティアの方々をまとめる役割を経験しました。そこでも、場を盛り上げて、みんなを鼓舞したり、想いを一つにするのはやりがいもあるし、自分に向いていると思いました。やっぱり、自分が思っていることを伝えるには関係性ってすごく大切で、環境づくりが大事なのだと実感しました。しかし、それ以上に得たものがあります。それは、自分が最もワクワクする瞬間が、自分が現場で活躍することよりも、高校生の思考にほんの少しのきっかけを創ることで高校生自身が課題を達成するような「誰かの人生に感動を与えること」であると実感できたことです。

こういった活動には修羅場も経験することもありましたが、それでもやりきることが自分の成長に繋がるのだと学びました。

 

今後のビジョンを教えてください。

 

あくまで今の所の話ですが27歳まで医者やります。そのあと起業したいと考えています。起業するまでに、起業する範囲、解決したい問題点は明確にします。そして、32歳までに一通り形にして40歳までにそれを世界各国に広める、50歳までにそれを拡大して、60歳までにそれを人に橋渡しする、世界各国に学校や赤十字みたいな中立的な教育機関を作ることをイメージしています。

そのために今は、小説を書いたりもしています。英雄譚を言語することでイメージを深めたいので。あとは神経科学×教育×ITのNeuroEdTech系のスタートアップ企業でインターンをしています、そこでは、神経科学の観点からモチベーションをどう高めるかといった、脳と心理の関連性の因果を解明することで教育に活かすことを目的としています。神経科学の知見を現場で応用することが、将来の自分のやりたい教育ビジネスの大きな参考となっています。

また来年からは香川の四国こどもとおとなの医療センターというとても面白い取り組みをしているところで医者として働きます。そこでは児童精神科、児童心療内科の二つがあります。例えば、心療内科では小学生の不登校の原因を探るといったことなどもするのですが、その原因で親の存在があったりすると、親のコーチング、ある意味、親のキャリア教育を行ったりします。そういう医者だからできるコミュニケーションの可能性に惹かれています。他にも全国にホスピタルアートを普及されている、NPO法人アーツプロジェクトの会長が在籍されていたりと面白い病院なのですが割愛します。(笑)

 

編集者後記

相川さんの描くビジョンには率直に感銘を受けました。
誰もがその人生の主役であり、それぞれの栄光を達成することができるはずである。
その可能性をないがしろにする要因に立ち向かうために社会をまずは知る。
医学の道もキャリア教育の道も本質的に
成し遂げたい目的のために選択する手段なのだとお話されていました。
今回のお話では、揺るがない信念を持つことの魅力と
その信念を抱くまでのプロセスについて学びました。

この学生生活ないし長い人生の中で
まず様々なことに挑戦すること、自己と向き合うことが
揺るがない信念の萌芽となるのではないでしょうか。