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3割の中学生がドロップアウト。若き一橋生が挑むカンボジアの教育改革とは? |【本気×学生】

西本佳蓮 By 西本佳蓮

2016.12.31  

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本気はいたるところに落ちている。

 

こんにちは、マジマガ!のカレンです。

 

あなたはカンボジアの子供達が、中学校をドロップアウトしてしまう現状をご存知ですか?

 

日本では中学を退学なんて、よっぽどのことが無い限り考えられないですよね。

 

学生団体SeedA(シーダ)は、「すべての子供達が学校教育を受けることの出来る社会を創る」という理念の下に、カンボジアの小学校でスポーツフェスティバルや様々なプロジェクトを行っています。

 
目的は、「学校をドロップアウトしてしまう中学生をなくすため。」

 

そこには、実体験にもとづいた代表の強い思いがありました。

 

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今回はSeedA代表の飛矢智希さんに、「カンボジア教育の現状」をお聞きしました。

 
国際協力や、海外での活動に興味のある学生にぜひお読みいただきたい記事です。

 

子供にもらった一枚の手紙からすべてが始まった

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― SeedAを立ち上げたきっかけは何ですか?

 

2015年の夏、大学1年生でアイセックという団体のインターンシップに参加した時です。

6週間、カンボジアの小学生に英語を教えていました。

 

子供たちへの情みたいなものが芽生えていた5週目のときに、子供から手紙をもらったんですね。

 

手紙の差出人からではなく、「友達がこれ渡してって言ってたよ」と、友達伝いに手紙をもらいました。

 

差出人はその日、学校に来ていませんでした。その手紙には「昨日が私の最後の授業でした」と英語で書いてありました。

 

「どういうことだろう?」と思い、学校の先生に話を聞いてみたら今日で学校をドロップアウトして辞めたと知らされました。

 

昨日が最後の授業でもう会うことができない上に、自分は何もフォローが出来なかった。

 

一対一で話して、仕方ないねって辞めてたら多分「そんなもんなのか」ってなっていたと思うんですけど、5週間ずっと先生の立場で、その子達に接していたのに何も相談もできずに辞めていったことがすごく心に残っていて。

 

自分の信頼って何だったんだろう。小学校を辞めて、家業の農業をするのって、これから先の可能性をストップさせちゃわないかなって思っていました。

 

そこで興味を持ち始め、帰国後、日本でデータを調べてみたんです。

そしたら、東南アジアの中でカンボジアは一番中学校までの退学率が高かったんです

 

退学率が34%ぐらいで、3〜4人に1人が中学校のうちに退学をしてしまう

 

日本では特別な事情が無い限り義務教育は果たせるのに、退学して未来を閉ざされちゃう子供たちが、カンボジアには3人に1人いることにかなり衝撃を受けました。

 

「なんとかしないといけない」と思って始めたのがこの団体でしたね。

 

なぜドロップアウトしてしまうのか?

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− なぜ学校をドロップアウトしてしまうのでしょうか?
 

途上国の子供たちが退学する理由は、お金が無くて貧困に喘いでいるから仕方なく退学になるイメージだと思うんですけど、話を聞いたり調べたりすると、意外とそうじゃないっていうのが分かりました。

 

なぜドロップアウトしてしまうのかと言うと、まず学校自体を楽しいと思っていないのが現状としてあります。

 

カンボジアは、ポル・ポト時代の内戦から教育が1回崩壊しています。今は教育を立て直している段階。基礎的な学力を伸ばし続ける方針で、午前、あるいは午後しか授業が無いんですよ。

 

だから少ない時間の中で、算数国語、少し理科社会だけの上に、先生もあまり質が高くないので、子供たちにとっては面白くないんですね。だから保護者に農業やってよって言われたときに、学校よりはいいかってなって思ってしまう。

 

もう1つの原因は、保護者の人が全然学校に来ないんですよね。

 

日本は授業参観があったり、保護者会やPTAがあるじゃないですか。

 

カンボジアでは全く無い。保護者はただ子供を送り届けて、学校で子供たちが何をしているか全く分かっていない。
だから、保護者の人って学校より農業で育てようと思うんですね。

 

保護者のモチベーションと、子供たちも学校に興味が無いっていう、両方のモチベーションの低さがすごくあるんじゃないかなって、実感していました。

 

教育を変えられるかもしれないスポーツの可能性

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― スポーツに焦点を当てて、スポーツフェスティバルを開催されたと聞きましたが、なぜスポーツだったのでしょうか?

 


保護者の人と子供たちの両方にアプローチできて、問題の根本的な原因を解決する事ができるんじゃないかなと思ったのが、スポーツだったんですね。

 

自分、スポーツが大好きだったんですよね。
小学校から野球や陸上をやっていた経験があるので、スポーツから変えていこうと思いました。スポーツが楽しくて学校に行く子供たちって結構多いじゃないですか。男の子って結構そうだったりして。それに、スポーツフェスティバルは、一つの目標に向かって頑張ろうと向上心や団結力が強まる。

 

そこで、スポーツ教育をカンボジアの学校にもたらすことができたら、スポーツを通して、「こいつと一緒に学校にいるの楽しいな」とか、「クラスで勉強するのも楽しいな」って思ってくれたら、子供たちが学校楽しいなって思ってもらえるんじゃないかなと考えました。

 

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それに、スポーツフェスティバルをすることで、保護者が学校に子どもたちを見に来る。その場はすごく大事だなと思います。

 

保護者の人全員に招待状を渡して、スポーツフェスティバルに来てもらい、そこで校長先生がスポーツ教育だけじゃなくて、授業の意味とか、学校に行く意味を伝えられる場を、10分でも15分でもフェスティバルの中でつくり出す事が出来たら、「学校ってこういうことやっている場なんだ」、「ただ勉強している場じゃないんだ」っていうことを、保護者の人が実感してもらう機会になるんじゃないかと思いました。

 

予想以上の一体感

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― スポーツフェスティバルで印象に残った出来事はなんですか?

 

出来事として一番印象に残ったのが、結果発表のとき。

 

赤組・青組どちらも頑張っていました。結果発表が終わって勝ったほうが凄く喜んでいました。
その後に負けたほうにも拍手を送ってください。と言ったとき、両方とも大歓声でした。

 

「よく頑張った」って負けた方にもエールを送っている。お互いに讃え合う場の一体感を感じる事ができて。

 

カンボジアでお互いを讃え合うことが出来るとは思ってなかった部分でもあったので、スポーツって良いなって思いました。

 

一緒にスポーツフェスティバルを作り上げた事に拍手を送っている子供たちの笑顔がすごく印象的でした。

 

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― 保護者の方や地域の方も見に来られましたか?

 

かなり沢山の方が見に来て下さいました。

 

なぜかというと、校長先生が自分と同じぐらい張り切っちゃったんですよね。

 

バナーを町中に貼ってみたり、プレスリリースを勝手にしてたり。

 

結局、最初の参加する子供たちの人数の想定は100人だったのが、実際は300人ぐらいになりました。

地域の人も子供たちと同じぐらいの人数の方が来てくれたりしたので、気づいたら凄く大きな運動会になっていました。

 

現地の人の意識を変えるまでがミッション

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― 何に一番本気になりましたか?

 

一番本気だったところは、カンボジアの先生とのやり取り。

 

子供たちって楽しい何かがあれば、楽しんで予行練習とかもやってくれる。けれど、先生方にはしっかり説明して通さなきゃいけない。

 

スポーツフェスティバルをやる意味や、日本人として自分がカンボジアに行き、そこでスポーツフェスティバルを主催したい意味、私たちの目的を英語で話して分かってもらわなければいけませんでした。

 

本当に何回も練り直し、英語が得意なSeedAのメンバーと話し合って、先生・主催者ミーティングを開いたんですけど、そこのミーテイングでの議論はすごく頭を使いましたし、頑張ったと思います。

 

結構細かい部分を聞いてくる先生も多くて。運営とかどうするんだ。知らない子供たちが入ってきて、急に参加し始めたらどうするんだとか。安全性とかどうなんだっていうところを、現地の人と詰められたのが結構大きな経験だったと思っています。

 

自分たちは、現地の先生に自主的に運動会を開催してほしいんです。

 

なぜかというと、自分たちがずっとそこの学校にスポーツフェスティバルを教えられる訳ではないから。国際協力としても違うと思います。

 

いかに自分たちが持ってきた企画に対して、現地の協力者を巻き込めるかが、一番自分が大事にしなきゃいけない。

 

スポーツの影響で、子供たちの退学率も下がって行くかもしれない実感を先生にももってもらう。

 

「今年は日本人がやってくれたけど、来年は自分たちでやろうぜ」とか、「自分たちでスポーツ教育を変えてやろうぜ」という気持ちを現地の人がもってくれることを一番本気になって考えました。先生にぶつかっていったことが一番努力したところかもしれないですね。

 

現地の人で現地をどう変えていけるか、現地の人をどう動かすかに自分自身としてはミッションがありました。

 

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― 今回の運動会はどうでしたか?

 

運動会自体は大成功だったんですけど、結局、現地の先生が自主的に来年やることにはならなかったんですよね。

 

これだけ頑張っても失敗してしまいました。

 

現地の人が主催者になるのが自分の目標ではあるので、その学校には来年も行こうと思っています。

 

その学校の校長先生は、自分がいなくても主体的にどんどん回してくれるようなモチベーションを持ってくれています。
そこを担任の先生レベルでやりたい人を増やすため、今校長先生と二人で計画しています(笑)

 

子供たちの未来を守りたい

 

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― 将来子供たちにどうなって欲しいという思いはありますか?

 

ドロップアウトを下げるっていうことにこだわってフォーカスしているのは、子供たちが成長する可能性を守りたい気持ちが凄くあります。

 

子供たちに何かなってほしいって自分が決めつけちゃうんじゃなくて、子供たちが自分でこういうことがしたいんだって、夢が出てくる可能性を守る事が教育なんじゃないかとすごく思っているんですよね。

 

自分が思っているのは、スポーツ教育を通して、スポーツ選手を育成するって言うことでは全くないんですよね。

 

スポーツを通じて、子供たちに学校に残ってもらうっていうのが目的で、残ったら小学校から、中学校、高校に上がれる可能性がでてくるじゃないですか。

 

その中で、いろんな先生に会って、いろんな中学校でレベルの高い子供たちや同じように意志を持つ人を見つけて。

 

そこで、自分の夢を見つけたときに、なれる可能性っていうのが学校教育に残っていれば広がるのかなって思っています。

 

子供たちの未来を平等に守ってあげられる団体であったらいいなとすごく思います。

 

本当に現地って、ドロップアウト1回しちゃうと農業しか無いんですよね。保護者の人がやっている仕事にしかつけなくなっちゃう。可能性が閉ざされているのを学校に残ることで広げたい。全力守って上げたいです。
 

最後に

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− 今後の活動を教えて下さい。
 

2017年3月7日に田舎の方にあるアンロンベンで、7校同時開催でスポーツフェスティバルをやります。

 

首都のプノンペンでは、スポーツ教育っていうのはある程度行われているところもあるんですね。

自分がやりたいのは、そういう機会がまったくない地方の子供たちや、ドロップアウト率が高い学校を変えていきたい思いがあります。

 

一般社団法人の方とコラボレーションして開催することになりました。二日間で1000人の子供たちが参加して、スポーツフェスティバルと+αでサッカー、バレー、バスケ、陸上を4つに分けて、子供たちに教えていくことを計画しています。

 

春も活動予定です。

SeedAの活動に共感してもらえたらどんなことでも良いので、メッセージ下さい。

また、コラボレーションできる方や団体がいらっしゃったらご連絡ください。

SeedAのHPはこちら!

 

飛矢さん、ありがとうございました!

 

編集後記

 

「あれもやりたい、これもやりたいって次々にやりたいことが思いついてしまうので、いつも僕だけ突っ走っちゃうんですよね。」

 

そう言って、子供のような笑顔を見せてくれた飛矢さん。

 

「なんとかしなきゃ」と思って、カンボジアの教育について多くの時間をかけて学び、スポーツフェスティバルを開催してしまう彼の行動力は本当にすごいです。

 

その他にも、クラウドファンディングで資金を募ったり、コラボレーションできそうな団体や企業に数多くのアプローチをかけていたそうです。

 

日本だろうが海外だろうが関係ない。

 

助けたい人、変えたい場所があるから、とにかく飛び込んでみる。

 

そんな、少しの勇気を持つだけで、周りの人たちを巻き込み、1人では出来ない大きなことを成し遂げることができます。

 

「海外ボランティアに行ってきた」「就活のネタになっていい」

 

それだけで満足していませんか?

 

海外に行って、そこで起きている問題を他の人に伝えて、現状を変えていくことが出来るのは、目の前で見たあなただけなのです。

 

日本には海外の現状を変えたいと思う学生が沢山います。

 

あなたも小さな一歩を踏み出してみませんか?

 

飛矢智希(ひや ともき)
一橋大学 社会学部 2年
SeedA 代表
趣味:天体観測やプラネタリウムに行くこと

 

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